人事担当の方や、社員の教育に携わる方は、以下のような共通のお悩みをお持ちではありませんか?
「業務や日常生活の忙しさから、なかなか学習に時間を使ってもらえない。」
日々の業務をこなしていくことも大切ですが、自身の業務の質を向上するためには、学習も欠かせません。
私たちをとりまく情報は、日々、目まぐるしいスピードで最新の内容へとアップデートされてしまいます。
そんな時代だからこそ、企業としての競争優位性を高めるためには、常に学習し続けることが重要です。
しかし、人材不足や働き方改革で業務時間が制限され、毎日まとまった時間を学習の時間に当てることが難しいという面もあります。
こういった背景がある中、今、新たな学習方法として注目されているのが「マイクロラーニング」です。
マイクロラーニングは、その特長から、現代のビジネスパーソンにあった学習方法といえます。
この記事では、マイクロラーニングとはどのような学習方法なのか、活用シーン、活用するためのコツについてご紹介します。
マイクロラーニングとは
マイクロラーニングとは、短時間のコンテンツを使って学習していく方法です。
短さの定義ははっきりと決まってはいませんが、一般的には1〜5分程度で学習できるコンテンツが多く、中には10分程度のものもあります。
マイクロラーニングの教材は、動画やウェブコンテンツなどのインターネットを活用したものになります。これらのコンテンツは、インターネットやSNSに慣れ親しんだ若い世代に受け入れられやすく、スマートフォンやタブレットを使って、すきま時間で学習することができます。
例えばスタディサプリや、グロービス学び放題といった専用の教材で学ぶことは、マイクロラーニングに当てはまります。専用の教材を使用せずとも、Youtubeを観て何かを学ぶことも、マイクロラーニングといえるでしょう。
難しい言葉のように感じますが、みなさんが普段からおこなっている学習方法なのです。
なぜマイクロラーニングが注目をされているのか
自分のタイミングで、時間も場所も選ばずに学習できるマイクロラーニングですが、なぜ、今注目されているのでしょうか。
マイクロラーニングが注目を集めている理由は、以下の3つになります。
- スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器の普及
- 短時間で繰り返し学習ができる
- ミレニアム世代への親和性の高さ
注目されている3つのポイントについて、詳しく解説していきます。
スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器の普及
これまでの学習方法として一般的だったeラーニングは、会社のパソコンや家のデスクトップPCの使用を前提としたサービスを提供していました。そのため、会社やもくしくは自宅でしか見れらないという制限があったのです。
近年では、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器が普及し、いつでもどこでも、好きな時に、好きなスタイルで学習することができる環境が当たり前となったことで、マイクロラーニングという学習方法が受け入れられるようになりました。
短時間で繰り返し学習ができる
eラーニングは、以下のようなデメリットもありました。
- コンテンツが長くて集中が持たない
- 忙しくて、長いコンテンツを見るための時間が確保できない
マイクロラーニングは、これらのデメリットを解消することができます。
1~5分の短いコンテンツを使用しているので、通勤や移動、就寝前などのちょっとしたすきま時間で何度も繰り返し学習することができます。
繰り返しコンテンツを見て学ぶことで、学んだ内容を定着化させるだけでなく、学習を習慣化させることも期待できます。
ミレニアム世代との親和の高さ
ミレニアム世代とは、デジタルネイティブ世代とも呼ばれている、1980年代から2000年初めごろの間に生まれた人のことです。
ミレニアム世代は、インターネットを使ってすぐに検索をして情報を手に入れられる環境にいたため、調べてすぐに答えを求める傾向にあります。
そのため、スマートフォンやタブレットで短時間で学習ができるマイクロラーニングは、ミレニアム世代と親和性が高い学習方法といえます。
ミレニアム世代が会社内で台頭してくる今後は、社員の教育において、マイクロラーニング需要がますます高まってくると考えられます。
マイクロラーニングのメリット・デメリット
モバイル端末の普及や、ミレニアム世代の台頭により、マイクロラーニングが有効な手段になりつつあります。
メリットばかりのように思えますが、マイクロラーニングにもデメリットがあり、使用目的や使用する人によっては不向きの場合があります。
実際に導入する前に、メリット・デメリットについて知っておきましょう。
マイクロラーニングのメリット
- 通勤や移動などのすきま時間で学習ができる
マイクロラーニングのコンテンツは1〜5分程度と短く、スマホやタブレットで見ることができるため、場所を選ばず、通勤や移動中、休憩中などのすきま時間で利用することができます。
机に座って長時間かける学習よりも、手軽に学習に取り組むことができます。
- 繰り返し学習ができる(反転学習ができる)
学習した内容を忘れてしまった時や、もう一度復讐したい時にさっと見直すことで、反転学習ができます。
コンテンツが短いことで何度も見直すことができるので、学んだ知識が定着しやすく、実践でも活かしやすくなります。
過去に進研ゼミで行った実験によると、短い時間の学習を反復したほうが記憶に残りやすいという結果もでています。
短い動画コンテンツを繰り返し見ることで、知識の定着がしやすくなり、効果的に学習が進められる点でも評価されています。
学習を日常の習慣として根付かせ、学習を習慣化できることも大きなメリットです。
- コンテンツの作成・修正がしやすい
一つひとつのコンテンツが短いということは、コンテンツを作成する側にとって、作成・修正にかかる手間が少なくて済むというメリットがあります。
作業工程の変更や法律などの変更によって、コンテンツを定期的に修正しなければならない場合も、コンテンツが短ければ、修正の負担を軽減することができます。
マイクロラーニングのデメリット
- 資格の取得などの長時間の学習
短時間のコンテンツで構成されているマイクロラーニングでは、資格試験などの長時間の確保が必要となる学習には不向きです。
仮に、300時間の学習が必要とされる資格の学習をマイクロラーニングにて実施しようとします。
5分のコンテンツで構成する場合、以下のような計算になります。
300時間=18,000分
18,000分÷5分=3,600コンテンツ
いくら手軽に学習ができるからといって、3,600個ものコンテンツを学ぶのは気が引けてしまいますね。
長時間学習を実施するのであれば、eラーニングの方が向いているでしょう。
- 対面でおこなうような詳しい説明が困難
現場経験を通じて、上司や講師などからアドバイスやフィードバックを受けながら習得していくスキルなどの学習も不向きです。
他人とのディスカッションの中で考えを深めていくもの、問題点の抽出やその解決方法に重点を置いているものなども同様に、マイクロラーニングで楽手することは難しいでしょう。
マイクロラーニングは、通勤や移動などのすきま時間で学習ができ、反転学習ができることで高い学習効果が得られます。
コンテンツの作成、修正やしやすいという、作り手側のメリットもありますね。
ただし、長時間時間がかかる資格取得のための学習や、人とコミュニケーションを取りながら進める研修などには不向きのようです。
マイクロラーニングを導入する際は、メリット・デメリットを踏まえて判断をする必要があるでしょう。
どのような場面で活用できるのか?
マイクロラーニングのメリット・デメリットを知っていただいた上で、ここからは、マイクロラーニングが特に役立つ3つの活用シーンを紹介します。
新入社員への教育
新入社員は、入社してすぐに多くのことを覚えなくてはいけません。
基本的なビジネスマナーや業界知識、自分の業務に関連する知識など、実際に現場に出て仕事をするまでに沢山のことを覚えます。
例えば、挨拶の仕方や、名刺交換の方法、といった初歩的なビジネスマンスキルや、接客や調理方法などの飲食店における必須スキルを、マイクロラーニングで細かく学習することで、具体的な知識やイメージが定着しやすく、早期戦力化することができます。
管理職による社内教育
管理職は、多くの知識やスキルも求められるようになります。
しかし、日々の管理業務が忙しく、まとまって学習する時間がなく、研修をしようとしても日程調整から難航してしまう方も多いのではないでしょうか。
OJTを実施しようにも日程調整がうまくいかず、止まってしまうことも多々あるようです。
マイクロラーニングを使用し、マネジメントの基礎知識などを学べるようにしておくことで、コストや業務への影響を抑えることができます。
集合研修やOJTに臨む前提知識の統一にもつながるので、効果的です。
情報共有が正しくスムーズにおこなえる
近年、世の中の情報の更新速度が速く、常に新しい情報を学習することは、ビジネスにおいて必要不可欠です。
情報の共有という観点からもマイクロラーニングは効果的です。
短時間でのコンテンツの作成や更新をおこない、チームや部署で同じコンテンツを使用すれば、情報が誤って伝わることもありません。
例えば、スーパーやドラックストアでの売り場スペースの作成の仕方、商品の陳列方法などといった情報が、最新の状態で共有されることで、業務も正確かつスムーズに実施することができ、売上にも貢献できます。
マイクロラーニングの効果を高めるコツ
最後に、マイクロラーニングを実施するにあたり、より効果を高めるためのポイントを紹介します。
研修やOJTなど、他の教育方法と併用する
マイクロラーニングで、すべての教育コンテンツの作成ができるかというと、そういうわけではありません。
ただし、ほかの教育方法と一緒に使うことで、教育効果を高めることができます。
例えば、集合型研修の研修内容をコンテンツ化して、研修後の復習に使う場合、研修のポイントとなる部分が確認ができることで、正しい振り返りができます。
また、何度も見直すこともできます。新人向けのOJTも同様、予習や復習に利用できます。
1話完結型のコンテンツ作り
マイクロラーニングは短時間のコンテンツを見て学習するため、1話話完結型が望ましいといえます。
例えば、ひとつのテーマが3つのコンテンツに分かれており、そのうち一つ目のコンテンツを見終わったが、続きを観る時間が取れず、学習を中断してしまったとします。
すると、続きを見る頃には一つ目のコンテンツの内容を忘れてしまい、もう一度一つ目のコンテンツから見直さないといけなくなり、余計に時間がかかってしまいます。
上記のような状況に陥らないためにも、ひとつのコンテンツで完結するような内容にすることをおすすめします。
かんたんに作成、閲覧・管理ができるツールを利用する
短時間のコンテンツとはいえ、コンテンツ作成は非常に手間がかかり、初心者にとっては難易度が高いです。
また、一つひとつのコンテンツが短かったとしても、多くのコンテンツを作成する場合、結果的に手間がかかります。
コンテンツ作成に慣れていない場合、時間や手間がかかることで、制作することが面倒になり、結局中途半端な状態でコンテンツの公開が止まってしまう、といったこともあります。
そのため、コンテンツ作成はあまり凝りすぎず、ツールを活用し、シンプルに作成することが大切です。
また、学習者がストレスなく、簡単にアクセスできることも大切です。
自分が見たいと思った時に、サッと観られることで、自主的に学びやすくなります。
短いコンテンツを多頻度で学習するマイクロラーニングを導入する場合、適切な運用、管理を実施する必要があります。
自分たちにとって使いやすく、管理しやすいツールを選びましょう。
まとめ
マイクロラーニングは1~5分の動画やウェブのコンテンツをいつでもどこでも、好きな時に見れるというメリットがあり、新人育成や社員の教育・管理のための学習方法としておすすめです。
何度も繰り返し、動画コンテンツを見直すことで自ら動画を見て仕事を覚えることが習慣になり、自分で学習する習慣もつきます。
現状の社員教育を改善したいと考えている方は、マイクロラーニングの活用を検討してみてはいかかでしょうか。
ただし、使用する目的によっては向いていない場合があるので、導入の際には、なぜマイクロラーニングを導入したいのか、どのように活用していくのか、よく考えてから判断しましょう。
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