業務に最適なマニュアルを作ろう!目的別にマニュアルを徹底分類!

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マニュアルは倦厭されてしまいがちな存在。
キレイに作れば「そんなことに時間を掛けるより、本来の業務に時間を割け!」と檄を飛ばされてしまったり、マニュアルを見ながら仕事をすれば「マニュアルなんか見ているとそこに書いてあることしかできない『マニュアル人間』になるぞ」と揶揄されたり・・・
作っても、使っても、職場でマイナスの評価を受けてしまいやすいのが、マニュアルというもの。

その割には、クレームやミスが発生すれば、現場でも「マニュアルを作ろう」という声が上がります。
マニュアルは、アクシデントが発生した場合のスケープゴートにしかならないのでしょうか。

そもそも、なぜマニュアルは煙たがられてしまうのか。
それは、マニュアルが、課題とミスマッチしている可能性があるから。

目的に沿った、正しいマニュアルを作ることができていないから、作るのに手間や時間がかかってしまったり、いざ使ってみると上手く使いこなせなかったり・・・
もしかしたら、多くのマニュアルは、正しい目的で作成されていないのかもしれません。

そこで、マニュアルに求められる2つの期待を軸に、改めてマニュアルを4つに分類してみました。
4分類の特徴や活用方法、うまく活用するポイントについてご紹介していきます。

マニュアルが職場の“嫌われ者”や“役立たず”にならないために、改めてマニュアルのことを学びましょう!

マニュアルが課題とミスマッチしてしまう理由

そもそも、なぜマニュアルは職場の“嫌われ者”や“役立たず”になってしまうのでしょうか?

営業マンの成約率を高める目的で、トップセールスの販売手法をマニュアルにしたら、単なる販売の手順書になってしまった・・・
顧客の要望に対する受け応えマニュアルを作成しようとしたら、内容を盛り込みすぎて収集がつかなくなってしまった・・・
このような話は珍しくありません。

その結果、「作るのは面倒」「作っても使えない」という悪評が蔓延していくことになります。
しかし、この問題は、元を正せば、現場が解決すべき課題と作成するマニュアルがミスマッチを起こしているからに他なりません。
お腹が痛いのに解熱剤を処方して腹痛が治まらず、解熱剤に対して「あの薬は効かない」と文句を言っているのと同じです。

このようなミスマッチを防ぐには、マニュアルを作る前に、自分が必要としているマニュアルがどのようなマニュアルなのかを正しく知り、そのポイントを理解した上で作成する必要があります。

成約率の向上を目的とした販売マニュアルと、一連の販売方法の習得を目的とした販売マニュアルは、同じ販売マニュアルという名称であったとしても、全くの別物であることを知らなくてはなりません

マニュアルが求められる「2つの期待」

コンサルタントとして多くの企業と接していると、皆さんが発している「マニュアル」という言葉に大きく2つの期待があることに気づきます。

ひとつは「仕事への期待」です。
マニュアルにしようと考えている仕事に何を期待しているのでしょうか。売上アップやコスト削減などの業績向上を期待するケースもあれば、ある作業を正確に、速く、きれいに遂行するという業務品質向上を期待するケースもあります。

もうひとつは、「強化したいスキルへの期待」です。
マニュアルを使う社員やスタッフの、どのようなスキルが強化されることを期待しているのでしょうか。

これについては、米国の経営学者ロバート・カッツが提唱した「カッツモデル」に準えて説明するのが分かりやすいと思います。

カッツモデル

仕事の手順や進め方といった、オペレーション寄りのテクニカルスキルを強化したいケースと、マネジメントの階層を問わず「現状分析→問題発見→課題整理→解決策の立案」という高度な思考業務である、コンセプチャルスキルを強化したいケースがあります。

期待の違いを見極めるには、先に述べたように、自分が必要としているマニュアルが、どのようなマニュアルなのかを理解する必要があります

とは言え、マニュアルの種類は豊富。
同じ種類のマニュアルであってもさまざまな期待に応え得る可能性があるため、判断に迷う方も多いことでしょう。

そこで、マニュアルに対する2つの期待をもとに、巷に出回っているマニュアルを4つに分類してみました。

マニュアルの4分類

マニュアル・ラボにおける、マニュアル分類

横軸に「仕事への期待」縦軸に「強化したい能力への期待」を置き、マニュアルを4つに分類したのが「マニュアルの4分類」マトリクスです。
それぞれの項目を詳しく解説していきます。

作業習熟マニュアル

作業習熟マニュアルは、業務品質を向上させるオペレーションスキルの強化を期待されています。
各職種の基本動作や作業の進め方、手順について整理したマニュアルを集めています。

具体的には以下のマニュアルが該当します。

  • 各種オペレーションマニュアル
  • 調理レシピ
  • 作業チェックリスト
  • トークスクリプト
  • 管理台帳

作業の手順や各作業における動作、使用する道具や材料などの情報が正確に記載されていることがポイント
内容に変更が生じた場合には、速やかに改定し、周知させなければなりません。
インデックスを習得する順番、持ち場などで整理し、スキルの難易度を示しておくと、後々活用しやすくなります。

恐らく、作業習熟マニュアルは、皆さんが「マニュアル」という言葉を聞いて最初に思い浮かべるものではないでしょうか。

ちなみに、私が今一番活用している作業習熟マニュアルは、NijiUの縄跳びダンスが投稿されたTikTok。
こっそりマスターして、娘の前で披露してみようとたくらんでいます(笑)

成果獲得マニュアル

成果獲得マニュアルは、業績に直結するオペレーションスキルの強化を期待されたものです。
さらに、売上獲得を目指す攻めのマニュアルとコスト削減を実現する守りのマニュアルに分かれます。

具体的には以下のマニュアルが該当します。

  • 商談マニュアル
  • 販売接客マニュアル
  • 研修会社のトレーナーマニュアル
  • FC本部のスーパーバイジングマニュアル
  • 機械・什器のメンテナンスマニュアル

売上アップを目的とする、攻めの成果獲得マニュアルは、「商品やサービスの興味づけ」や「値引き交渉に対する応酬」など、成約させるためのセールスの勘どころが盛り込まれていることが重要です。

「ここでパンフレットの4ページを説明する」といった手順の類は不要であることがほとんど
何がポイントなのか、どう説明すると刺さるのか、相手を魅了するトークはどんなものかといった、ノウハウが重宝されます
作業習熟マニュアルのように作ってしまうと、現場で「使えない」という評価を下され、一気に不人気になってしまいますね。

コスト削減を目的とする、守りの成果獲得マニュアルは、特定のオペレーションを内製することによって、修理業者に支払う外部委託費用がどれくらい抑えられ、コストダウンが実現できるのかをシミュレーションしておきましょう。

シミュレーションがなければ、単なる機械メンテナンスの手順を示した作業習熟マニュアルと変わりありません。
コスト削減の金額目標を明示することで作業習熟マニュアルとの違いを打ち出します。

成果獲得マニュアルの肝心要は、ハイパフォーマーがおこなっているアクションの中で、マニュアル・ユーザーとなる“普通の人”でも再現可能な「勘どころ」となるトークや動作を、その理由や背景も踏まえて表現することにあります。

しかし、時として、この“普通の人”でも再現可能な、勘どころとなるトークや動作の抽出を見誤ったケースも散見されます。
ハイパフォーマーの特異な行動習慣がマニュアルとして落とし込まれているケースです。

ハイパフォーマーは、特異な行動習慣をもっていることがあります。
例えば、始業の2時間前に出社して、新聞を隅から隅まで読む、名刺交換した方には直筆で長文の御礼状を送る、など、あまり一般的ではない習慣のことを指します。

このような特異な行動を「勘どころ」であるとカン違いして、マニュアルに盛り込んでしまうと、“普通の人”にとっては、ただ作業量が増えるだけで何も成果に繋がりません。
“普通の人”からしたら、マニュアルに対して疑心暗鬼な気持ちが生まれるだけでなく、業務そのものに対しても苦痛を感じるようになってしまうでしょう。

元メジャーリーガーであるイチローの振り子打法を、忠実に再現できるマニュアルを作成しても、私たちが試合でヒットを打つのは、それが草野球の試合だったとしても難しいでしょう。

それは脚を振り子のように使うことが再現可能な勘どころではないからです。
イチローの例え話なら「そんなバカなことはしない」と理解していただけますが、実際のところ、成果獲得マニュアルを作ったはずなのに、ただの作業習熟マニュアルになったり、特異な行動を勘どころとカン違いして盛り込んだりしている例は、意外と多いものです。

問題解決マニュアル

問題解決マニュアルは、コンセプチャルスキルの強化を期待されています。
業務品質を向上させるための問題発見や要因分析、改善策の立案などがあてはまります。
コンセプチャスキルを強化するための着想の視点や、思考のプロセスについて整理したマニュアルを集めています。

具体的には以下のマニュアルが該当します。

  • グラフ、管理図、散布図などの問題発見ツール
  • 特性要因図、パレート図などの要因分析ツール
  • 系統図、ロジックツリー、業務分解シート、トラブルシューティングシートなどの施策立案ツール
  • アクションプランシートなどの計画管理ツール
  • チェックリストなどの好習慣定着ツール
  • オズボーンのチェックリスト、SCAMPERの視点などのアイデア発想の着眼点
  • マンダラチャート

これらのツールや手法、視点を、マニュアルと呼ぶことに抵抗を覚える方もいらっしゃると思います。
ですが、Manual Lab.では、マニュアルを「仕事や生活において行動や思考の再現性を高めるツール全般」と独自に定義しています

マニュアルの定義については、「マニュアルについて学ぼう!そもそもマニュアルってなんだろう?」に記載されています。あわせてお読みください。

問題解決マニュアルは、思考のプロセスをスマートに整理したり、着想の視点を覚えやすくしたりと工夫することがポイント。
現場レベルでの問題解決に向けた思考のプロセスを整理し、マニュアルの利用者に多少の能力不足があっても、一定レベル以上の解を導き出せることに価値があります

問題解決マニュアルは、思考のプロセスや着想の視点をまとめたものです。
作業習熟マニュアルや成果獲得マニュアルと比較すると、アクションの『再現性』という観点では劣ります

また、利用者のインプット(=知識や見識、情報など)が間違っている、もしくは量が少ない場合は、当然いい答えは出ません

問題解決マニュアルという言葉を聞くと、さまざまな問題に対してズバッと正解を導き出してくれる印象を持つかもしれません。
しかし残念ながら、そのようなドラえもんのひみつ道具のような、都合のいいマニュアルはありませんね・・・(笑)

戦略立案マニュアル

戦略立案マニュアルも、問題解決マニュアル同様、コンセプチャスキルの強化を期待されています。
内容は異なり、業績を向上させるために必要となる事業の構想や、経営計画を達成するための戦略戦術の立案などが当てはまります。

これらのための着想の視点や、思考のプロセスについて整理したマニュアルです。
具体的には以下のマニュアルが該当します。

  • SWOT分析PEST分析・3C分析、RFM分析などの経営環境分析フレームワーク
  • クロスSWOT分析・アンゾフの成長マトリクス・BCGマトリクスなどの戦略意思決定フレームワーク
  • 事業計画策定マニュアルや事業計画のテンプレート
  • 飲食店などの業態開発用のコンセプトシート

戦略立案マニュアルは、事業部長や部長クラス以上になると活用頻度が高まります
経営企画職、マーケティング職、事業開発職などの一部の職種を除き、一般職層で使うことはほとんどありません。
フレームワークの類が多く、問題解決マニュアル同様に、インプットが間違っていたり、量が少ない場合には、妙案と言えるアウトプットは出てきません。

妙案を捻り出すには、ベンチマーキングが効果的。
ベンチマーキングとは、他業種や他分野におけるベストプラクティス(最も効果的な手法や取り組み)を分析し、自社に生かす経営改善手法です。

サウスウェスト航空が、インディ500のピットクルーの業務プロセスに倣って、業界の常識を覆す15分ターン(=飛行機が着陸してから15分後に離陸可能な状態にすること。ちなみに従来の業界標準は約50分)を実現した例が有名です。

コンサルタントとして、多くの企業の方と話をしていると、「うちの業界で、同じくらいの規模の会社で上手くいっている事例はないですか?」と質問を受けることがあります。

しかし、そのような「超」がつくほど、都合のいい参考事例が存在することはありません。
そのような時は、必ずサウスウェスト航空の話をするようにしています。

それを「なるほど」と聞き入れていただける方と、「うちの業界は特殊だからねぇ・・・」と反応する方がいるのですが、私にはその反応が長くお付き合いできる企業かどうかの判断基準になっています。

マニュアルの4分類を見極めるポイント

4分類されたマニュアルを、どのように見極めればいいのでしょうか。
そのポイントは、以下の2点。

  • 必要なマニュアルは何なのか?
  • そのマニュアルは何がポイントなのか?

すでに各社には、さまざまなマニュアルが存在しています。
しかし、「マニュアルのおかげで業績がアップしました!」と礼賛する企業には、お目にかかれません。

スターバックスコーヒーのように、マニュアルを持たない企業が業績を拡大すると、「やっぱり、マニュアルはないほうがいい」という意見も聞こえてきます。
大手ナショナルチェーンのカフェでアルバイトをする長男も、「マニュアルはあるらしいけれど、マニュアルを使って仕事を教わったことはない」と言います。

相当の労力と費用をかけて作ったであろうマニュアルが、このような末路を迎えてしまうのはなぜでしょうか?
それは自社が必要としているマニュアルに、どのような期待が込められているのかを正しく理解できておらず、何がポイントになるのかが曖昧なまま作り、使っているからです。

成果獲得マニュアルを、作業習熟マニュアルのように作っても、期待する成果は出ません。
作業習熟マニュアルに、成果獲得マニュアルのようなポイントを盛り込むと、情報過多になって使いづらくなります。
着想の視点のないフレームワークは、使い慣れていない人にとっては、ただのフレームで効果的なワーク(=思考)ができません。

これからは、マニュアルが必要になったら、作成に取り掛かる前に、4つの分類に当てはめてみてください。
4つの分類の中で、どのマニュアルを作るべきなのかが決まったら、ポイントを押さえてマニュアルを作り、目的を達成できる活用をしてください。
そうすれば、マニュアルと組織の関係は、今よりももっと好ましいものになるでしょう。

まとめ

今回は、巷に出回っているマニュアルの類を、4つに分類する考え方について解説しました。
もしかするとマニュアルを4つに分類するなどと言い出したのは、Manual Lab.が最初かもしれません。

「そんなことしてどんな意味があるんだ?」という声も聞こえてきそうですが・・・
4つに分類することで、各マニュアルの作り方、使い方のポイントの整理がグンと進みました。

マニュアルを作成する前に、この工程を踏むことでミスマッチがなくなることを期待しています。
皆さんも本記事でご紹介した4分類を理解し、組織活性や業績改善に役立ててください。

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小川 晴寿

経営コンサルティング会社に8年半勤務した後、ベンチャー企業の取締役として経営に参画。同社が3年で東証マザーズへ上場を果たす一翼を担う。その後、“やりがいを感じられる職場を1つでも多く増やしたい”という想いから、平堀と共にアッシュ・マネジメント・コンサルティングを設立。

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