円滑なマニュアル作成を実現するための「事前準備」15のコツ

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私は、コンサルティング事業で培ったノウハウを生かし、マニュアルの作成を代行しています。お打合せの中では「マニュアルの作成を任されたけれど、なかなか進まなくて・・・」というお悩みを打ち明けられることも多いです。
もともと、マニュアル作成を任される方というのは、現場での活躍が認められているという理由があるので、有能な方が多いです。

そのような方が取り組んでいるにも関わらず、マニュアル作成が進まない背景としては、以下の要因が挙げられます。

  • マニュアル作成に必要なPCスキルを持ち合わせていない
  • マニュアル作成の経験がなく、どのように作ったらいいのかわからない
  • 本来の業務が忙しくてマニュアル作成に時間を割けない

マニュアル作成が滞ると、上司からは「(現場をはじめ)他のメンバーにも手伝ってもらいなさい」という指示が出ますが、現実はそう簡単にはいきません。
私も、新卒で入社した会社でマニュアルを作成した経験があります。複数の部署にまたがるプロジェクトでしたが、悩みは尽きませんでした。

  • 手伝いをお願いしたら、「マニュアルって必要?」や「それってうちの部の仕事?」と拒まれる
  • 手伝いを依頼したい人ほど忙しく、マニュアル作成に時間を割けない
  • 何とか手伝いは引き受けてくれたものの、決めた納期通りにマニュアルが提出されない
  • 段取りが悪く、手戻りが生じてしまう

こんな苦い思いをしながらのマニュアル作成でしたが、問題が出るたびに原因を分析し、フローを見直し、しばらくすると、プロジェクトが円滑に進むようになりました

その後も、さまざまな会社のマニュアル作成に携わる中で、わかってきたことがあります。
それは、マニュアル作成は事前準備が大切だということ。
「マニュアル作成は準備が8割」といっても過言ではありません。

たしかに、マニュアル作成には大きな負担が伴います。作成したからといって、業績に直結するような成果が出る訳ではありません。それでも、会社と仲間の未来のために汗をかく、重要で、意味のある仕事です。

この記事では、マニュアル作成を任されたけれど、何から手をつけたら良いのか分からないという方に向けて、マニュアル作成を円滑に進めるための事前準備のポイントについて解説します。

マニュアル作成で発生する問題

マニュアルを職場の問題解決に役立てるためには、「つくる」、「つかう」、「かわる」という3つのフェーズに分けて考える必要があります。
3つのフェーズについては、「マニュアルを最大限活用するための「3つのフェーズ」」で詳しく解説してあります。あわせてご覧ください。


まずは、この3つのフェーズのうち、「つくる」フェーズ「つかう」フェーズで発生する問題について整理します。
容易に想像できる“マニュアル作成あるある”もあれば、多くのマニュアル作成に携わってきたからこそ見えてきたものもあります。

01. 「つくる」フェーズで発生する問題

「つくる」フェーズで発生する4つの問題について、リストアップしてみました。

初めの一歩を踏み出すまでに発生する問題
  • そもそもマニュアルの作り方がわからない
  • マニュアル作成に必要なパソコンスキルがない
  • WordかPowerPointか、はたまたExcelか、どのソフトが最適なのかが分からず、何でも同じソフトで作成する
作成担当者が複数いることによって発生する問題
  • 当初設定したスケジュール通りに作成されない
  • 言葉の定義や表現方法が統一されない
  • 図や写真の挿入方法が統一されない
段取り不足によって発生する問題
  • 撮影した写真や動画が、マニュアルのポイントと合っていない
  • マニュアルの再現性が低い
  • 何がどこに書かれているかがわからず、必要な情報にすぐに辿りつけない
欲張り過ぎることによって発生する問題
  • 細かい情報を入れ過ぎて、読むのに時間が掛かる
  • 枝分かれする作業のすべてを盛り込み、読んでも理解しづらい

それぞれの項目について、詳しく解説していきます。

初めの一歩を踏み出すまでに発生する問題

突然ですが、質問です。

「あなたはマニュアルを作ったことがありますか?」
「あなたの職場にマニュアルを作った経験のある人は何人いますか?」
「あなたの職場のマニュアルは見やすく、キレイですか?」

おそらく、マニュアルという言葉を聞いて何のイメージも持てない人はいないと思います。それくらいマニュアルは、言葉としては浸透していますし、利用した経験もあります。
しかし、マニュアルを作った経験のある人はきわめて少数派です。世の中の多くの人は、マニュアルを作ったことがありません。
未経験ですから、初めの一歩で躓くのも無理はありません。

作成担当者が複数いることによって発生する問題

マニュアルを複数のメンバーで作成すると、各自が好き勝手に作ってしまいフォーマットの項目やレイアウトが異なったり、箇条書きの数字の使い方が不揃いだったりして、使いづらいマニュアルができあがってしまうことがあります。

また、担当者が増えるほど、リマインドが増えたり、納期通りに提出しないメンバーの尻ぬぐいをしたりと人間関係にも亀裂が生じることにもなりかねません。

段取り不足によって発生する問題

マニュアルに写真や図表を挿入してわかりやすくするという工夫は、当り前のようにされています。
しかし、実際にマニュアルに配された写真や図表を見ると、伝えたいポイントを押えておらず、「なんとなく」挿入されたものが多いです。

実際に一つ例をあげましょう。以下は、ある飲食店の「トレーの持ち方」マニュアルに挿入されていた写真です。


  
確かにトレーを持っていますが、これではトレーの持ち方やトレーにドリンクや料理を載せる際のポイントはわかりません。本来なら、トレーを持っている手や掌のアップ、グラスや皿を載せる最適な位置を示す写真が必要なのです。
ポイントがわからなければ、写真を挿入した目的は果たされません。

私たちは、このような写真を、「ノリ写真」や、「とりあえず写真」と呼んでいます。

欲張り過ぎることによって発生する問題

マニュアル作成は、マニュアルにしたい作業をよく理解している人に依頼されるケースが多いです。
作業をよく理解している人は、「こんなことも知っておいてもらいたい」、「これも知っていて当然」という考えになりやすく、細かい情報までマニュアルに掲載する傾向があります。

「羽毛布団のクリーニング」マニュアルを例にご説明します。本来、このマニュアルに掲載されていなければならないのは、羽毛布団をクリーニングする際の作業手順です。それだけが書いてあればいいのです。
そこに「クリーニング法の特徴」というマメ知識が書かれていたり、年に1~2度しか依頼のない「低反発ウレタン布団のクリーニング方法」が記載されていたりすると、肝心の情報がぼやけてしまうばかりか、マニュアルが分厚くなって読む人の気力を奪ってしまうのです。

そのような善意で作られた不要の知識の塊は、残念ながら現場に届けられた後、棚の中で冬眠してしまうのがオチでしょう。

02. 「つかう」フェーズで発生する問題

「つかう」フェーズで発生する2つの問題について、リストアップしてみました。

マニュアルの作成が目的になってしまうことで発生する問題
  • マニュアルが現場で使われているかを確認していない
  • マニュアルを活用した結果、現場が変化しているのかを確認していない
  • 作業手順が新しくなったのにマニュアルが更新されない
社員のマニュアル・アレルギーによって発生する問題
  • 「見るのが面倒」という理由で見られない
  • 「マニュアル通りにやりたくない」「俺流のやり方でやりたい」という反発が起きる

それぞれの項目について、詳しく説明します。

マニュアルの作成が目的になってしまうことで発生する問題

マニュアルを作成する目的は企業によってさまざまですが、マニュアルを作り終えると、その達成感に浸り、そこで安心してしまう方も多いものです。

しかし、マニュアル作成の目的は、それを完成させることではありません
作ったマニュアルを使い、作業のバラツキを改善したり、スタッフ教育の効率化を図ったりとマニュアルを導入するに至った目的を達成することにあるはずです。

社員のマニュアルアレルギーによって発生する問題

せっかく労力をかけて作ったマニュアルが、現場で使われないということは多いです。
その根本的な原因として挙がるのは、社員のマニュアルに対するアレルギー。マニュアルの活用を指示すると、「見ながら作業するのは面倒」とか、「マニュアル通りにやるより自分のやり方の方が効率的だ」、「マニュアルに頼るヤツは半人前」といった反発が起こるものです。

「新人用のマニュアルでしょ? 私たちは対象外ですよ」と言う社員もいますが、既存社員がマニュアルの内容を理解していない状態で、新人に指導をするのは好ましくありません。
トレーニングをする側の人間は、情報の食い違いによる諍い事を防止する意味でも、マニュアルに書かれた作業手順を理解する必要があります。

マニュアルの完成後に、問題を発生させないための「事前準備」

前章では、マニュアルの「つくる」フェーズ、「つかう」フェーズで発生する問題を取り上げました。
これらの問題を念頭に置かず、マニュアル作成に没頭すると、後に大きな問題が表面化し、手戻りが発生してしまいます。

こんなことを言うと、「やっぱり私には無理だ」と感じる方もいらっしゃると思いますが、取り上げた問題の原因の多くは「準備不足」にあります
逆に言えば、事前準備を入念におこなえば、「段取り八分」の言葉の通り、マニュアル作成の8割は完了したといっていいでしょう

そこで、この章では、マニュアル作成後に問題を発生させないようにするための具体的な解決方法について解説します。
(この記事でご紹介するのは、「事前準備」として有効な解決策に限定しています。その点、ご了承ください。)

01. 「つくる」フェーズの事前準備

「つくる」フェーズの事前準備には、「初めの一歩を踏み出す」、「作成担当者が複数いても統一感を出す」、「段取り不足による手戻りをなくす」、「マニュアルのボリュームを最適にする」の4つのポイントがあります。
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

初めの一歩を踏み出すための事前準備

  • マニュアルを作成する目的を決める

マニュアル作成は、「何のためにマニュアルを作成するのか」を明らかにすることから始めなくてはなりません。
言い換えれば、マニュアルを通じて、どのような経営成果を獲得するか明確に示せなくてはならないということです。

例えば、マニュアル作成の目的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 仕事の生産性を上げるため
  • 仕事のミス減少やサービスや商品の品質を安定させるため
  • 教育の効率化を図るため
  • 作業のバラツキを解消するため

導入目的は、必ず明文化し、誰が見ても同じ認識を持てるようにしましょう。
また、目的だけではなく、その目的を達成するとどの経営指標がどのように変化するのか、KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)やKPI(Key Performance Indicator/重要業績管理指標)もあわせて設定することをオススメします。

  • マニュアルのソフトやフォーマットを決める

マニュアル作成で使用するソフトやフォーマットについても、あらかじめ決めておきましょう。
ソフトは、作成する担当者が、自分の使いやすいものを使ってしまうことが多いのですが、作成するマニュアルによって適したソフトは異なります。ソフトの適性を無視して、使いやすいソフトを選んでしまうと完成したマニュアルが見にくくなってしまいます。

ソフト選びは、以下を参考に用途に適したもの選択してください。

ソフト
ソフトの特長
Word
箇条書きの文章など、文字で十分に意図を伝えられるシンプルなマニュアルに適している。
Excel
計算式や集計作業が入るフォーマットやその使い方を説明するタイプのマニュアルに適している。
PowerPoint
図解や写真を多用したり、デザインを工夫したりとビジュアルを重視するタイプのマニュアルに適している。

担当者が迷わないようにフォーマットと記入例を準備すると、その後の作成が進めやすくなります。オーソドックスなフォーマットのレイアウトを以下に示します。ご参照ください。

※左側に写真や図表、右側に説明のための文章を配置し、作業プロセスを時系列に並べます。

マニュアルに記載する情報は、「手順」、「作業のやり方・方法」、「作業のポイントや注意点」、「道具」、「作業に要する標準時間」が基本です。
「作業毎のゴール(=合格基準)」や、「作業の目的」を加えてもいいでしょう。

最近、増えている専用のアプリを使えば、フォーマットを用意する手間は省けます。
動画マニュアル作成ツールの比較については、「どれが一番使いやすいの?動画マニュアル作成ツールを徹底比較!」で詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。

  • 作成担当者のパソコンスキルを確認する

インターネットが仕事に使われるようになって、25年以上の時間が経過しましたが、ITリテラシーやパソコンスキルの個人差は大きいままです。最近は、若い人であっても、スマートフォンですべてを済ませているため、パソコンのスキルが心許ない人が増えています。

したがって、作成担当者のパソコンスキルは事前に確認しておくようにしましょう。
各自のスキルに応じたフォローも念頭において、作業計画を組む必要もあります。スキルが不足している担当者に対して、頻繁に納期のアラートを鳴らすのも現実的ではありません。そのような場合は、1本は一緒に作成するという対処が効率的です。

作成担当者が複数いても統一感を出すための事前準備

  • あらかじめマニュアル作成のルールを準備する

マニュアル作成のルールを決めておくと、各担当者が表現の方法に迷うことなく、作成できます。マニュアル作成のルールには、以下のようなものがあります。

一つの文章に入れる主語と述語は一つだけにする×:ぞうきんを絞って窓ガラスを図のような流れで拭く
○:①ぞうきんを絞る
  ②窓ガラスを図のような流れで拭く
手順通りの順番で書く×:①2階の教務室に鍵をかける
  ②鍵は1階の事務所左側の壁に掛かっている
○:①1階の事務所左側の壁に掛かっている鍵を取る
  ②2階の教務室に鍵をかける
箇条書きを活用する×:お客さまにお釣りとレシート、その他、チケットの半券と園内図を渡す
○:お客さまに以下の4つを渡す
  ①お釣り
  ②レシート
  ③チケットの半券
  ④園内図

ただし、複数の担当者で分担して作成する場合、細かいルールを設定したり、ルール順守の精度に固執し過ぎたりすると、作成担当者の負担とプロジェクトリーダーの管理工数が増えてプロジェクトが進みません。

社内で内製化したマニュアルに過剰な統一感を求めることは、家庭料理に外食級の品質を求めることと同じ。
マニュアルは再現性が最も大切。その基準をクリアしているのであれば、あまり細かいことには口を出さない寛容さも持ってください。

  • 進捗管理表を準備し、マニュアルの作成担当者の特性に合わせて進捗を確認する

納期遅れが常態化した時、「今日は提出期限ですよ」とアラートを強化するだけではもうまくはいきません。メンバー一人ひとりの進捗停滞の原因に応じて、対応を変える必要があります。

マニュアルの作り方がわからないメンバーには、手取り足取り教えることが必要です。
工数不足が原因で進まないメンバーのであれば、抱えているタスクを整理して、作業時間を捻出してあげなければなりません。場合によっては、メンバーの上司に掛け合う必要が出てくることもあるでしょう。

プロジェクトリーダーであるあなたに必要なことは、タスクを振りっぱなしにしないことです。誰がどのマニュアルをいつまでにつくるかを一覧化した進捗表を共有し、プロジェクトメンバーの特性を考慮しながら、進捗を確認しましょう。

段取り不足による手戻りをなくすための事前準備

  • 写真を撮る前に、手順毎に伝えたいポイントをまとめておく

マニュアル用に撮った写真が、要件を満たさず、撮りなおすはめになった・・・
そのような手戻りをなくすために、写真を撮るよりも前に、作業のポイントを書き出してください。その上で、ポイントに合った写真を撮影しましょう。
作業のポイントを先に整理することで、「ノリ写真」や「とりあえず写真」の発生を防ぐことができます。

  • マニュアルが完成したら、実際に新人に作業してもらう

マニュアルが完成したら、新人やその作業のやり方を知らない人に、マニュアルを見ながら作業してもらいましょう。それが最も厳格なマニュアルの品質チェックです。

そうすることで、作成担当者が想定していなかった質問を受けたり、思い描いていたのとは違う作業をされてしまったりといったエラーを発見することができます。そのエラーを踏まえて、マニュアルを修正することで、より再現性の高いマニュアルを作り上げることができます。

  • 事前に、マニュアルの目次を決めておく

今は、パソコンでマニュアルを作成する場合がほとんどだと思います。マニュアルの目次はあらかじめ決めておき、「どのマニュアルデータをどのフォルダに置くか」がわかるようにしておきましょう。

分厚いマニュアルから、自分の知りたいことを探すのは時間が掛かります。データで社員に渡して、知りたい情報がすぐに見つかるように検索できる機能をつけておくと便利です。

マニュアルのボリュームを最適にするための事前準備

配られた後に、ほとんど活用されない“マニュアルの冬眠”を防ぐためには、事前準備の段階で以下の点に配慮する必要があります。

  • マニュアルのターゲットを設定しておく

マニュアルは、見る人によって欲しい情報が異なります。大卒の新入社員か、ある程度業務経験を積んだ正社員か、高校生の新人アルバイトを対象にしているのか・・・

まずはマニュアルを読んでもらうターゲットを設定し、そのターゲットにとってベストなマニュアルを設計しましょう。

  • 作業マニュアルに書くのはツール・手順・やり方のみと心得る

ターゲットを絞り込んだら、ターゲットに合わせた内容を検討します。その際、何でもかんでも盛り込んでしまうとボリュームが膨らみ、見づらいマニュアルとなってしまいます。

作業マニュアルの場合は、「ツール」、「手順」、「やり方」が記載されていれば最低限のスペックは担保できます
稀に「基本用語の説明」、「豆知識」、「トラブルや発生頻度の低い状況での対応方法」などの情報が、ギッシリ書き込まれたマニュアルにお目にかかりますが、「作り手の心、読み手知らず」であまり活用をされていないようです。
もし、必要なら、それらの情報は用語集やハンドブック、別のマニュアルとして作成することをオススメします。

「つかう」フェーズの事前準備

「つかう」フェーズの事前準備には、「マニュアルを活用することで成果を獲得する」、「社員の意識改革を視野に入れる」、「トリガータスクを決める」の3つのポイントがあります。
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

マニュアルを活用することで成果を獲得するための事前準備

マニュアルが一通り完成したら、以下のような効果検証をおこなうことで、マニュアル作成の目的となっている課題の解決や成果創出が可能になります

  • マニュアル完成後の活用状況を確認する方法を決めておく

新人育成が目的であれば、「新人がマニュアルを見ているのか?」をモニタリングしなければなりません。
方法は、アンケートやインタビューなど、何でも構いません。アンケートであれば、Googleフォームなど、オンラインで回答、集計できるものが便利です。

また専用アプリには閲覧履歴機能が付帯されているものもあり、「見るべき人が、見るべきマニュアルを、どれくらい見ているのか」を簡単に確認することが可能です。

  • マニュアルを活用することで獲得したい成果についてのKPIを設定する

マニュアルを見てもらえるようになったら、次は「マニュアルで学んだことを実行できているか?」を確認しなければなりません。接客マニュアルであれば、マニュアル通りに接客し、お客様は満足しているのかを確認します。

マニュアルを導入する目的は、つくることでも、使うことでもありません。使って、成果を上げることです。
したがって、そのためのパラメーターをあらかじめ検討しておくことも重要な事前準備なのです。

  • マニュアルを更新するルールを決めておく

仕事のやり方は、日々アップデートされます。フォーマットのちょっとした修正であれば、頻繁におこなわれているでしょう。仕事のやり方がアップデートされたら、マニュアルも更新しなければいけません。

あらかじめ、マニュアルを更新するためのルールを決めておきましょう。更新を考えると、やはり紙ではなく、マニュアルをクラウドに上げて共有する方法を採用したくなるかもしれませんね。

社員の意識改革を視野に入れた事前準備

社員がマニュアルに対して前向きな姿勢で臨めるように、しっかりと意識づけの仕掛けも検討しておきましょう。

  • 社長からキックオフメッセージを発信してもらうよう根回しをする

マニュアルを導入する目的は、経営成果を獲得することです。その認識を強く持ってもらうために、社長をはじめ然るべきポジションの方から、導入目的やマニュアルを活用することとの意味、それが会社の業績や未来に与える影響などについて話をしてもらう機会を設けましょう。

直接話をするのが難しければ、メールや社内報で広く周知する方法でも構いません。啓蒙用のポスターを掲示する方法もオススメです。

トリガータスクを決める

トリガーとは「拳銃の引き金」で、それが転じて「行動を起こすきっかけ」という意味で使う言葉です。したがって、トリガータスクとは、“マニュアルを使うきっかけとなる業務”を表しています。

例えば、厨房のスタッフに魚の三枚おろしの技術検定を実施すると告知し、三枚おろしのやり方の動画をマニュアルとしてクラウドにアップすれば、三枚おろしに自信がないメンバーはこの動画マニュアルを見ないわけにいきません。

この場合、トリガータスクは「三枚おろしの検定」です。技能検定やテスト、ロールプレイングなどはトリガータスクにしやすいでしょう。上手に、マニュアルを見なければいけない環境をつくり、社内のメンバーを巻き込んでください。

  • マニュアルと人事評価を連動させる

マニュアルの活用を促進させるために、人事評価制度と連動させるという方法があります。これは、経営陣の承認や人事部との連携が必要なので、簡単ではありません。
しかし、マニュアルの活用が評価や給与と連動するようになると、社員は無視できないでしょう。大掛かりな施策ではありますが、効果性も高いので一考の余地はあると思います。

まとめ

マニュアル作成は、決して簡単な仕事ではありません。そのくせ、直接収益を生み出すわけでもないので、優先順位も上がりにくいです。
また、毎年のように頻繁に発生するわけでもないので、社内に経験者が少なく、助言を受けることも難しい。

それでも、マニュアル作成は、会社の未来を良くするために誰かがやらなければいけない仕事です。
社員の良い行動が、会社の業績向上に繋がり、利益が増え、社員の給与も上がっていく。こんな良いスパイラルになれば、あなたが作ったマニュアルは会社にとって財産になったといえるでしょう。

そんな会社の未来を良くしようと、自らすすんで「危うきに近寄った君子」となる方々の負担が少しでも軽くなれば、という想いで書き上げました。
あらかじめしっかりと事前準備をすることで、マニュアル作成で起こるトラブルを最小限に食い止めることが可能になります。
一人でも多くの方にお読みいただき、一つでも多くの悩みを解決する助けになれば幸いです。

吉田 彩

新卒で平堀・小川が役員を務めていた会社に入社し、飲食店や温浴施設の売上向上支援等を経験。結婚を機に退職。退職して10年が経った頃、小川からもらった「仕事を手伝ってくれない?」という1本の電話をきっかけに、当社の新サービス『ポジティブ・サポート』の開発に携わることになる。“仕事が楽しい人”を増やしたいという想いを胸に、2017年5月アッシュ・マネ ジメント・コンサルティングに入社。

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