「教育の仕組み化」を実現するための3つのステップ

  1. コラム
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近年、働く環境や方法といった「働き方改革」がますます重要視されています。
「働き方改革」が進んだことで、業務を仕組み化して、生産性を向上するという活動を進める企業も増え始めました。

しかし、企業の経営層から「仕組み化をする」と急に言われても、何から手を付ければいいのかわからず、現場では実行できない企業も多いようです。

そこで、この記事では、さまざまな仕組み化の中でも、特に「教育」の仕組み化を進めようとしている方に向けて、仕組み化するためのステップを説明します。

教育における、よくある課題

まずは、教育の現場において、多くの企業で課題と感じていることを、上司目線と新人目線で分けてみると、次のようなことが起きています。

はじめに、上司側が抱えやすい教育の課題は以下になります。

  • 新人に対して教える時間を確保したくても、自分の業務が手一杯で新人に十分な教育をしてあげることができない
  • 同じ内容の質問を違う新人から何度も受けるため、同じ説明をするのにストレスを感じてしまう
  • 忙しいタイミングで質問をされ、仕事のペースを狂わされてしまう
  • これくらいはできるだろうと思って依頼した仕事が、想定以上の時間がかかってしまい、フォローする必要が出てしまう

次に、部下が抱えやすい教育の課題は以下になります。

  • 先輩・上司によって教える内容が違い、教わった内容で業務を進めていると途中で間違いを指摘される
  • 業務の進め方に困っても、指示者が忙しくタイムリーな相談ができない
  • 口頭で説明を受けても、今までしたことのない業務のため実行イメージが持てず、何となくわかった気になって作業をすることになるため、実行後の修正が多く、はじめからちゃんと説明して欲しかった、と不満に感じる
  • 作業終了の報告後に説明を受けていない内容が出てきてしまい、作業のやり直しが発生する

このように教育の現場では上司も部下も、互いのコミュニケーション不足を課題として抱えていることが多いようです。
お互いにコミュニケーションのすれ違いが発生したまま、実際に完了した業務を上司がチェックすると、依頼していたものとまったく違うものが提出され、部下を叱るということが起きてしまいます。

皆さんの職場ではいかがでしょうか?

教育における仕組み化とは

先に挙げた「上司と部下のコミュニケーション不足」は、教育を仕組み化することで解消されるケースが多いです。
ここでいう教育の仕組み化とは、人に聞く時間や抜け漏れによるやり直しを防ぐために標準化することを指しております。

例えば新入社員への教育について考えてみましょう。
皆さんの会社でもこんなことはありませんか?

新入社員の入社日前日、新入社員のオリエンテーションを担当することになった佐藤くんは受入れのための準備に取り掛かりました。
しかし、準備をはじめるタイミングで、新入社員の受け入れはどういったことをするのか知らないことに気がつきます。

佐藤くんは、先輩に去年のオリエンテーションについて聞きに行き、先輩からアドバイスをもらいました。
準備を進めていると、今度は別の先輩から違うアドバイスをもらいます。

ふたりの先輩からのアドバイスを踏まえて、準備を無事終えた佐藤くん。
当日オリエンテーションを進めていると、お客さまから急対応が必要な電話がかかってきてしまい、30分以上も対応をすることに。

佐藤くんが抜けている間、新人をデスクで待たせることになってしまいました。
お客さま対応を終え、オリエンテーションを再開するも、なかなか新人が理解してくれず、結局当日予定していたオリエンテーションをすべて実施することができませんでした。

上記の状態をまとめると、以下の問題が露呈します。

  • 教わった先輩とは違う、もしくは追加の内容を後から指示される
  • 急務により、現在取り掛かっている業務を中断しないといけなくなり、その間、他の人を待たせてしまう
  • 想定よりも時間がかかり、やらないといけない自分の業務が終わらなくなってしまう

これらの問題によって、佐藤くんは翌日の業務にも支障が出てしまいます。
もしかしたら新人が帰った後に残業をして、自分の仕事の遅れを取り戻そうとするかもしれませんね。

教育を仕組み化すると、これらの問題はどう変化するのでしょうか?

まず、準備をはじめるまえに、過去に新入社員のオリエンテーションを担当した人数名にヒアリングをおこないます。
どんなことを過去におこなったのか、うまくいった点、うまくいかなかった点、注意しておく点など、疑問や不安をすべて解消できるようにヒアリングを繰り返していきます。

次に、ヒアリングの結果、おこなうべきことを決め、ヒアリングをした担当者に確認を取ります。
ここで重要なのは、ただ箇条書きでリストアップするのではなく、午前中はオリエンテーション、午後はパソコンの設定、と、時間を区切っておこなうことを書き出します。
さらに、オリエンテーションではどういったことするのか、パソコンの設定は設定する項目まで、抜け漏れがないよう細かく書き出しましょう。
その上で当日までに準備すべきことをリストアップし、準備を済ませておきます。

自分が前日・当日にやらなくてはならないことが明確になっていれば、当日もスムーズに進めることができるでしょう。
当日、急な対応が入ってしまったとしても、やらなくてはいけないことはすでにリストアップしてあるため、最悪他の人にお願いすることも可能です。

ただし、他の人にお願いをすることは、お願いする人の時間を奪ってしまうため、あまりおすすめできません。

教育の仕組み化を実現するための3つのステップ

佐藤くんの業務をスムーズに進めるために必要な最初のステップは、過去のオリエンテーション担当者にヒアリングをすること。
そして次のステップで、ヒアリングした内容をもとに、オリエンテーション前日・当日におこなうべきことを書き出すという内容でした。

2つのステップを一言でまとめると、業務内容を見直す業務を標準化する、ということになります。

2つのステップができるようになると、教育をスムーズにおこなうことができるようになります。
スムーズにおこなえるということは、教育する側、される側、双方の無駄な時間が生まれることを防ぐことに繋がります。

さらに時間を短縮し、効率化をあげるのために、3つめのステップである、業務をツール化する、を実施しましょう。
ここからは、3つのステップを一つひとつ解説していきます。

業務内容を見直す

ステップの1つ目、業務内容を見直すについて説明をしていきます。
かんたんに説明すると、皆さんが普段おこなっている業務手順をまず見える化することを指します。

例えば人事部の場合、「採用業務」、「社員教育」、「評価」、「労務」と分類し、それぞれの業務の流れを書きだします。

採用業務を例にしてみましょう。
まずは、以下のように、個人がおこなっている業務の流れを書き出します。

  • 採用したい人材の擦り合わせ
  • いつまでに、何人採用するのかを決定
  • 採用媒体に掲載する会社紹介の作成
  • 採用媒体からの応募者管理
  • 応募者との面談
  • 

  • 応募者への合否通知

書き出した後は、担当者全員で、業務が漏れなく、ダブリなく書き出せているかを擦り合わせます

業務を標準化する

業務を見直したら、次は業務を標準化する作業をおこないます。
業務の標準化とは、最適な業務手順を決め、その手順を徹底させることです。

先ほど見直した業務を、以下の3つに分類します。

  1. 経験や知識をもとに、おこなう業務
  2. なにが最適かを考えて、実施する必要がある業務
  3. 判断する必要がなく、同じオペレーションを繰り返す業務

では試しに、「応募者との面談」の標準化について考えてみましょう。
この業務は、1・2・3のどれにあたると思いますか。

私は1と3に当てはまるのではないかと考えています。
正解は会社やご自身の考え方によって異なると思いますので、あくまで例として参考にしてください。

1は、応募者との面談をしないといけないので、経験がないとできません。
現場経験がある、現場責任者や役員がおこなうことになると思うので、1に当てはまると考えられます。

3は、応募者の履歴書を用意したり、会場を準備したりといった業務になります。
履歴書の用意や面接会場のセッティングといった業務は、自身で判断する必要はなく、オペレーションによる業務となるでしょう。

1は標準化することが難しく、大きな労力がかかります。3は標準化もしやすく、効率化による効果も大きいです。

そこで、今回は、3にあたる業務を、標準化する手順を考えてみましょう。
標準化するために必要なことは、最終的なゴールを明確にしてから、ゴールに向かってなにをすべきか、必要な道具はあるかと、逆算しながら手順を考えることです。

例えば、履歴書をA3サイズで1枚用意する、を標準化するとします。
最終的なゴールは、カラー印刷された履歴書を用意することだとします。

まずカラー印刷をおこなうためには、パソコンと印刷機が必要ですね。
手順は、パソコンからデータを出力し、プリンターで印刷をおこなうというもの。かんたんですし、誰でもできそうに思えます。

しかし、意外なところに落とし穴があります。

例えば、送られてきた履歴書データが、A4サイズで2ページに分かれていた場合、どうしたらいいでしょう。
そのまま印刷してしまうと、A4サイズ×2枚で印刷されてしまいます。A3サイズ1枚で印刷するには、印刷機の設定を変更する必要があります。
設定を変更する手順を知らないと、インターネットで検索したり、知っている人を探して聞くという時間のロスが発生します。

また過去の経験から、大抵の場合、A3サイズのデータを送るという人は少ないということを想定し、A3サイズで印刷する方法を標準化しておく必要があります。

業務をツール化する

標準化した業務の中から、3の、判断する必要がなく、同じオペレーション業務にあてはまるものを、ツール化していきましょう。

例えば、マニュアル化や、出退勤の管理をタイムカードではなく勤怠管理システムを使用するExcelで管理していた営業活動の管理を営業管理システムを導入する、といったこともツール化することにあてはまります。
今回は多くの方が触れる機会のある、マニュアル化についてお話します。

従来のマニュアルは、紙で作られることが一般的でした。
しかし作成や配布、管理に手間がかかるなど、マニュアルを作成し運用することは大きな負担となっていました。
結果、マニュアルはあるけど誰も見ない、といった状況が多くの企業で見受けられるようになってしまったのです。

そういった課題を解決すべく生まれたのが、クラウドで管理ができる動画のマニュアルです。
スマートフォンやタブレットで手軽に動画撮影と編集ができるようになり、作成の手間は大幅に軽減、さらにクラウドで管理をするので配布の手間も削減できます。

動画のマニュアルをかんたんに作成するツールはたくさんありまますので、調べてみると自社の運用にあった動画マニュアル作成ツールが見つかるかもしれません。

3つのステップを実現したら組織はどう変わる?

今回紹介した3つのステップを通して社内の業務を仕組み化していくと、教育の効率化とノウハウの蓄積、継承ができるようになります

仕組み化をすることで、説明が不要な部分はマニュアルを見るよう伝えれば、部下は自分自身で作業を進めることが可能になり、説明の手間が省けます。
部下も、同じことを繰り返し質問することもなくなり、失敗による手戻りの発生も防ぐことができます。

業務内容をマニュアルとして残すことで、それまで属人化されていた業務を誰もがおこなうことができるようになるだけでなく、突然の退職によって重要なノウハウの損失を防ぐこともできます。

上司が本当に知りたいことは手順ではありません。
部下が何を考えて実行したのか、どうして成功または失敗したのか、これからどう成長していくのか、ということが知りたいのです。

手順を教えることは、コミュニケーションではありません。相手の心の中を知ることがコミュニケーションなのです。
そして部下の気持ちを知り、正しい方向へ導くことが、組織でおこなうべき教育なのです。

オペレーティブな作業はマニュアル化し、本当に必要なコミュニケーションに時間を割く、このように組織体制を変えていけることができれば、企業がさらに成長するきっかけとなるはずです。

まとめ

教育の仕組み化をおこなうための「業務内容の見直し」、「標準化」、「ツール化」の3ステップと、それによって、本当に必要なコミュニケーションを交わすことができるようになることをお伝えしました。
しっかりと仕組み化ができれば、上司も部下も共にWin-Winな関係を築くことができるようになります。

ぜひ今回紹介した3ステップを、皆さんも試してみてください。

井口 義隆

大学卒業後、テレビ番組制作会社に就職。民放でディレクターを経験した後、企業プロモーション用Web映像の制作に携わる。映像業界の次のステージとして、映像機材の販売する営業職を経験。昼夜も関係なく、激務が当たり前の映像業界に関わる中で、人を大切にする企業、働いていて楽しいと思える企業を増やしたいという思いからアッシュ・マネジメント・コンサルティングに入社を決意する。

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