実践力を高める!効果的な「ケーススタディ」の作り方

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「研修では、なかなか実践力が高まらない・・・。とはいえ、OJT教育では、計画的に人材育成できない」

このような声が、教育責任者から挙がります。
つまり、「人材の実践力を計画的に身につけさせる方法はないか」ということですね。

方法としては、いろいろあるでしょう。
その中の一つとして、今回は「ケーススタディ」をご紹介。

ケーススタディーを実施している教育責任者は多いのではないでしょうか。
それでも社員の実践力が高まらない場合、もしかしたら効果的なケーススタディを作成できていないのかもしれません。
今回は、研修や教育で役立つ、効果的な「ケーススタディ」の作り方を解説していきます。

ケーススタディーとは

ケーススタディーとは、想定外を極力減らすためのトレーニングの手法です。
一人の経験からの学びには限度があります。

これまで組織が克服してきた困難や生み出した成果を、ケーススタディーとしてまとめ、全社員に学ばせます。
ケーススタディーを学ばせる環境を整えることは、各社員が問題に直面した時に、想定内として対処できる引き出しを準備するようなものです。

2019年の6月に、地球の遥か遠くに存在する小惑星「リュウグウ」への着陸を成功させた、宇宙探査機「はなぶさ2」を覚えていますか?
この着陸に当たっては、事前に10万通りのシミュレーション訓練をおこなったそうです。
当時、「着陸が困難になる事態に見舞われても、対処できるトレーニングを重ねたからこそ、成功した」という記事が掲載されていました。

ケーススタディーがもたらす効果

ケーススタディーを行うことで、社内の実践知の資産化社員の実践力の向上の2つが期待できます。

実践知とは、職場で発生した問題の解決策や、成果を創出した手順を、他の社員でも実行できるようにまとめたノウハウ集
そして、このノウハウをケーススタディーの問いにして答えさせることで、解決策を導き出す力を養います

ケーススタディーは、「このような場面に遭遇した場合、あなたならどうする?」という形式で、与えられた問題を自ら答えることを課すからです。
答えを覚えるのではなく、「自分ならこうする」という答えを導き出さなければならないケーススタディーは、実践力を鍛えます。

ケーススタディーの作り方

いきなりケーススタディーを作ろうとしても、テーマの選定や解答のまとめ方など、なかなかイメージができないのではないでしょうか。
そこで、手始めに、他社が作成しているケーススタディーを活用して、ケーススタディーの何たるかを学習しておきましょう

ケーススタディーの本は複数出版されています。当社でもケーススタディーを公開していますので、よかったら参考にしてください。

「H[a∫]なケーススタディ」をチェックする

合計100本のケーススタディーを掲載しており、10個のカテゴリーと、7個の階層に分類されています。

既成のケーススタディーに取り組み、その内容をイメージできたら、自社オリジナルのケーススタディーの作成開始です。
手順は、次の通りです。

01. 作成担当者を選定する

ケーススタディーに取り上げる題材の選定を先にしようとすると、いたずらに時間がかかってしまうもの。ケーススタディーに慣れていなのですから、題材に適したテーマが浮かばないばかりか、回答の作成にも苦労してしまいます。

まずは、これまでに発生した問題の解決や成果を創出した実績のあるメンバーを、ケーススタディーの作成担当者に任命しましょう。
専任されたメンバーに、解決した問題や創出した成果の詳細を事例にまとめてもらえば、それがそのまま、自社のケーススタディーになります。

ケーススタディーにするテーマは、先に示したカテゴリーを気にせず、専任メンバーが作成しやすいモノを選びましょう

02. ケーススタディーの作成計画を立案する

作成計画には、担当者に作成してもらうケーススタディーの本数や完成日を定めます。

自社のケーススタディーを作成する、最初の目標本数は10本
この10本のケーススタディーがたたき台となり、今後、自社のケーススタディーを作成していく計画を練ることになります。
最初の10本の作成は、とても重要な工程です。

作成担当者が2名の場合、1名に割り当てられるケーススタディーの本数は5本。
3名の場合、3本~4本になります。

担当者にとっての負担は決して軽くありませんので、文章作成が不得手な人には、文章作成が得意な人に代筆してもらうことも計画に盛り込むと良いでしょう。

問題解決や成果の創出は得意でも、文章作成が不得手な人は、かなり高い確率で存在します。
ケーススタディーの作成計画に代筆役をあらかじめ任命しておくと作業が滞りません。

03. 完成したケーススタディーをカテゴリー分する

目標とする10本のケーススタディーが完成したら、各ケーススタディーをカテゴリーに分けます。

カテゴリーは、業界によって異なります。

カテゴリーの例
製造業の場合:品質管理、業務改善、業務標準化、見える化
サービス業界の場合:顧客満足、顧客クレーム、イレギュラー対応 など

業界に適したカテゴリー名を定めましょう。
たたき台として作成した10本のケースタディーを基にし、自社が属する業界や自社の拘りも検討材料に加えて、カテゴリー名を設定していきます。

04. カテゴリーごとにケーススタディーテーマを設定する

自社オリジナルのカテゴリー分類ができたら、そのカテゴリーごとに作成するケーススタディーの題材をピックアップします。
1カテゴリーに対して、3つのケーススタディーの作成を目指してください。

カテゴリーが7つに分類されたとして、1カテゴリーで3つのケーススタディーを作成すると、合計で21種類のケーススタディーが完成します。
自社のケーススタディー集としては、十分な量となりますね。

たたき台として作成したケーススタディーが10本あるので、差し引き11本のケーススタディーを新たに作成することになります。
ケーススタディーのテーマの検討に当たっては、たたき台のケーススタディーの作成者とは異なるメンバーに加わってもらい、負担を軽減させましょう。
たたき台のケーススタディーと、自社独自のカテゴリー分けができているので、ケーススタディーに適した事例は容易に出てくるはずです。

ケーススタディー作成時のポイント

ケーススタディーは、ケースとする問題とその解答によって構成されています。
ケーススタディーの問題は、問われている視点が解答者に明確にイメージできるように作成します。

ケーススタディーは、「このような場面に遭遇したら、あなたならどうする?」との問いに、自ら答えさせてから模範解答を解説します。
そして、この事例から学びとる視点を認識させる必要があります。そのためのケーススタディーを作成するようにしてください。

また、模範解答が絶対正しいという認識で作成をするのは、危険です。
解答者がひねり出した答えも、解決方法の一つになり得ます。
柔軟で寛容な回答が生まれるような、ケーススタディーの作成を目指しましょう。

実際のケーススタディを例に、教育や研修での活用方法については、「人材育成に役立つ!「ケーススタディ」の活用方法とコツ」でまとめましたので、よかったらご覧ください。
活用するためのコツや留意点もまとめています。

まとめ

少々古い話になりますが、1951年にデミング賞が創設され、日本の産業界にはQCサークル(小集団改善活動)が、広く根づきました。
間もなくして、日本の産業界は成長軌道に乗り、経済発展の黄金期に突入しました。

QCサークルとは、現場で発生している問題の解決や成果事例を資料にまとめ、現場で共有しあう活動です。
この日本企業の礎となったQCサークルのキーワードの“改善”は、英語の辞書にも掲載されることになりました。

Kaizen
A Japanese business philosophy of continuous improvement of working practices, personal efficiency, etc.
(働き方や個人の効率などを継続的に改善するという日本の経営理念)

自社のケーススタディーを作成する価値は、ここにあります。
各社員が日々凝らしている創意負工夫をケーススタディーにまとめる行為は、知的資産の蓄積になります。
創造は模倣から始まると言われるように、模倣すべき事例を全社員が学べる環境を整えれば、創造力も増していきます。

自社のケーススタディーを、第一段階で10本、第二段階で30本、最終的には100本を目標に作成し、社員教育の一環として活用していけば、実践力の基礎が培われます。
自社オリジナルのケーススタディーを作成し、活用してみてください。

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平堀 剛

大学卒業後、電機メーカーに就職。先端技術の開発に汗を流すエンジニアを目の当たりにし、自分も何かをしたいと一念発起。学生時代からの夢、事業家(経営のプロ)を志しコンサルティング会社に転職。数多くの業界の経営実務に携わり上場(マザーズ)も経験した後に、小川とともに当社を起業。

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