実践力が身に付く!「ケーススタディ」の活用方法とコツ

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教育責任者の多くは、人材の実践力の伸び悩みについて、課題を抱え、改善したいと考えているでしょう。
また、実践力の成長を、本人に任せっきりにするのではなく、計画的に身につけさせたい、と思っている方も多いはず。

実践力を計画的に身につける方法の一つに、「ケーススタディ」があります。
ケーススタディとは、想定外を極力減らすためのトレーニングの手法

一人の経験からの学びには限度があります。これまで組織が克服してきた困難や生み出した成果を、ケーススタディーとしてまとめ、全社員に学ばせます。
ケーススタディーを学ばせる環境を整えることは、各社員が問題に直面した時に、想定内として対処できる引き出しを準備するようなものです。

効果的なケーススタディの作り方については、「実践力を高める!効果的な「ケーススタディ」の作り方」で紹介しているので、ぜひご覧ください。

ここでは、応用編として、実際のケーススタディを使用して、より実践的なケーススタディの作り方、活用方法をご紹介。
ぜひケーススタディ作成の参考にしてください。

実際にケーススタディーを作ってみよう

当社で作成したケーススタディー「買い占めを控えさせるには」を題材にして、ケーススタディーを実際に作成してみましょう。
作成時のポイントも解説していきます。

ケーススタディー問題事例

ケーススタディーの問題を作成する上でのコツは、考えさせる視点の明確な提示となります。
以下のケーススタディ問題事例を参考に、どのような考えさせる視点を提示する必要があるか、考えてみましょう。

災害発生時に買い占めが横行している社会問題を取り上げ、みなさんが部下に、「買い占めは控えよう」と朝礼で話したところ、部下から「なぜ、控えなければならないのですか。我々も自分たちの生活を防衛しなければならないので、災害に備えて買い占めをするのは当然だと思います」と反論されてしまいました。
さて、みなさんなら、部下からの反論にどのように応えますか。

この問題の事例では、以下の流れで、解答者に、問題を考えさせる視点が示されています。

  • 災害発生時の買い占め(問題提起)
  • 買い占めを控える(問題の解決の方向性)
  • 自己防衛のために買い占めを必要とする部下への指導(部下からの反論への対応)

次にケーススタディーの解答ですが、問題となる視点を紐解く糸口を示した上で、それを項目に区分けして、対処策を具体的に解説していきます。

ケーススタディー問題事例の解答

まず、実行すべきことは、頭ごなしに買い占めはいけないと否定するのではなく、必要な商品の購入量を認識させることです。

そのためには、次の3つの質問が有効となります。

  1. 購入しようとしている商品の最低保有量は?
  2. 購入しようとしている商品の在庫量は?
  3. 購入しようとしている商品の必要購入量は?

3人家族を前提とし、商品をお米として、計算してみましょう。

01. お米の最低保有量
災害に備えた食品の保有量は3日が基準のようですが、余裕を持って1週間で計算すると以下の計算式になります。

60g/杯×3食×3人×7日=3.78kg

02. お米の家庭内在庫量
仮に、米びつの残量を、2kgとします。

03. お米の必要購入量

3.78kg-2kg=1.78kg

となります。

3つの質問をしてみると、生活必需品の実際の消費量と在庫量も認識せずに、むやみやたらに大量購入をしている自分の浅はかさに気づくことができるのではないでしょうか。

次に、買い占めがもたらす影響を考えさせなければなりません
被災地に物資が届かなくなるのはもちろんのこととして、その他に、悪影響が生じないか考えてもらうのです。

買い占めは、近隣でも立場の弱い人を生活難に追い込みます。立場の弱い人とは、買い占めのために長時間並んだり、大量に荷物を運べない人を指します。
例えば、独居老人、障害のある方や、小さな子供を持つ主婦です。

この実態を理解して、自分たちの家庭だけではなく、地域の人たちにくまなく必需品が行き渡るような気づかいをしようと、この機会に働きかけてください。
そして、3つの質問のひとつめである、最低保有量の考え方を根づかせましょう。

最後に、輸入食糧の3分の1を廃棄している事実に触れてください。
現在日本は年間5800万トンの食料を海外からの輸入に頼っていながら、食糧廃棄量は一年に1940万トン。
コンビニやスーパー、そして飲食店も含めてのデータですが、一般家庭でも1日ひとり当たり57gの食料を廃棄しています。
この際に、家庭内の在庫品を利用しきるように促してください。

このケーススタディーの解答は、以下の3つを学ばせる内容となっています。

  • 必要な商品の購入量の計算から、問題の定量化
  • 買い占めによる影響は、自分だけではなく他の人にも発生しているという全体視点
  • 他に関連して考えなければならない問題もあるという見識

ケーススタディーを作るポイントは、この事例のまとめでひとくくりにはできませんが、ケースタディーを通じて解答者に学ばせたい視点を明示するのは、あらゆるケースに共通します。

ケーススタディーの活用シーン

ケーススタディーは、「このような場面に遭遇したら、あなたならどうする?」と、考えさせるためのトレーニングです。
従って、自分なりの答えを導き出させてから解答を読まなければ、効果は、まったく期待できません

作成したケーススタディーを活用するシーンは次の通りです。

01. 再発防止策として

ある問題が発生した際に、これに類似した過去のケーススタディーに取り組ませます。
このことにより、同様の問題の発生防止につながります。
会議の場で、ケーススタディーの解答をさせてもいいですし、社内メールでケーススタディーの問題を発信し、解答を返信させてもいいでしょう。

02. アイディア会議のアイスブレイクに

商品企画や職場改善策の検討など、アイディアをフランクに出し合うような会議の冒頭で、頭の柔軟体操を目的してのケーススタディーも有効です。
きっと、いいウォーミングアップになるはずです。

03. 階層別教育に

新人向け、主任向け、管理者向けという階層別のケーススタディーが準備できている場合には、この階層に合わせた問題に取り組ませることで、自身が担う役割と責任を自覚させます

04. 部下からの相談の際に

部下から仕事の進め方や問題の解決についての相談を受けた際に、上司から「そのことなら、〇〇というケーススタディーを参考にするといいよ」とアドバイスすると、部下はこれまで学習したケーススタディーを実践に活かすヒントを得られます。 

ケーススタディー活用の留意点

ケーススタディーは、「このような場面に遭遇したら、あなたならどうする?」との問いに、自ら答えさせてから模範解答を解説します。
そして、この事例から学びとる視点を認識させますが、模範解答が常に正しいという姿勢で解説はしないようにしてください

解答者がひねり出した答えも、解決方法の一つになり得る。
このように柔軟で寛容なスタンスで解答内容を交流しあえば、解答者の創造力を高めます。

ケーススタディートレーニングで失敗するのは、ケーススタディーの答えに合致したことを出さなければという思いに、解答者を陥らせてしまうことです。

ケーススタディーの解説者が、「答えは一つではない、他にいい方法もある」という姿勢をしめせば、解答者はリラックスして問題に取り組むことができます。

まとめ

実際のケーススタディーをもとに解説することで、ケーススタディーの作成方法がよりイメージしやすくなったかと思います。

「実践力を高める!効果的な「ケーススタディ」の作り方」でも述べましたが、各社員が日々凝らしている創意負工夫をケーススタディーにまとめる行為は、知的資産の蓄積になります。
創造は模倣から始まると言われるように、模倣すべき事例を全社員が学べる環境を整えれば、創造力も増していきます。

社員教育にはあらゆる手法がありますが、ケーススタディーは特に取り組みやすい手法ではないでしょうか。
まずは他社事例の研究からはじめ、徐々に、自社にとって最適なケーススタディーを作成し、活用できるようにしていきましょう。

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平堀 剛

大学卒業後、電機メーカーに就職。先端技術の開発に汗を流すエンジニアを目の当たりにし、自分も何かをしたいと一念発起。学生時代からの夢、事業家(経営のプロ)を志しコンサルティング会社に転職。数多くの業界の経営実務に携わり上場(マザーズ)も経験した後に、小川とともに当社を起業。

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