マネージャー・上司必見!やる気のない社員の自主性を高める方法

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研修で効果をあげるには、自主的な姿勢での参加が好ましいといわれています。
しかし、「研修の開催案内を発信しても、参加者が集まらない」との声をたびたび聞くことがあります。

研修の冒頭、受講生たちに研修の参加理由を尋ねると、「上司に参加しろと命じられたから」と応える人も一定数存在しており、自主的な研修への参加を実現する難しさを感じます。

研修のオリエンテーションで、「You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.」というイギリスのことわざを紹介されることがあります。
直訳すると、「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」となります。

研修に置き換えると、「会社側からの指示命令によって社員を研修に参加させることはできるが、受講生がその気にならない限り、研修からの学びは得られない」という意味になります。

本人に学びに対する欲求がなければ、いくら優れたプログラムを提示しても身につかない。これはまぎれもない事実。
従って研修は、自ら学びたいという自主性を持って受講させることが大前提となるのです。

今回は、社員が自ら研修をうけるような自主性を高める方法を、「企業理念の浸透」、「入社時教育の実施」、「評価基準の明確化」、「定期的なフィードバック」、「自分に自信を持つ報酬の付与」の5つの視点から解説していきましょう。

01. 「企業理念の浸透」で社員の自主性を高める

社員の自主性を引き出す第一段ステップとなるのは、仕事をする目的の理解です。

「学校を卒業したら、自分で収入を得て生活するのが社会人としての務めなので仕事をしている」との認識レベルで働いている人に、自主性を求めるのは無理があります。
それは、義務感に縛られて仕事をしているからです。

義務とは、「法律上または道徳上、人や団体がしなくてはならない、また、してはならないこと」と辞書に掲載されている通り、「しなくてはならない」、「してはならない」という、ルールや他者からの拘束によって果たすモノなので、自主性とは真逆の考え方になります。

「自主」を辞書で調べると「他からの保護や干渉はどうあれ、独自におこなうこと」とある通り、義務で仕事と向き合うのではなく、自らの意志を持って仕事をする。このような心構えを養う必要がみえてきます。

ここで有効となるのが「企業理念」
企業理念は、仕事をする人たちに共通して持ってもらう心構えを表しているのですから、自主性を引き出す上での教科書として最適です。

企業理念が社員に浸透すると、自社が生産しているモノやサービスを顧客に提供している意義や価値の創出を目的にして、社員たちは仕事をするようになります。

仕事をする目的を理念的な側面から学習させることで、社員に自主性が芽生えさせることができます。
各社が、理念を浸透させる教育をする理由がここにあるわけです。

02. 「入社時教育の実施」で社員の自主性を高める

新卒であれ中途であれ、初出社の時は、期待と不安で胸が高鳴るものです。そして、会社の社風や周囲の人、業務に慣れるまでは、緊張感にあふれた日々を過ごします。
鉄は熱いうちに打てといわれるように、この時に、先に示した企業理念に関連した教育を施すのは効果的です。
入社したての社員は会社に適応することに必死なので、乾いた砂が水を吸い込むように、教育プログラムを吸収していきます。

企業理念に関連した教育テーマは、「自社の設立目的や沿革」、「自社が求める人財とは」、「自責と他責の考え方」などが挙げられます。
最低でも1日、理想的には3日間の時間を要して、理念浸透教育を実施するとよいでしょう。

この際の留意事項は2点あります。

一つ目は、理念教育を受講した社員が、自身の革新課題を見出し、変革する意欲を持つこと
自責と他責についてのプログラムから、他者や環境のせい(他責)にしてきた自分の言い訳癖をあぶり出し、その改善の意を固めてもらうことが、自主性を導き出す上で最重要となります。

二つ目は、既存社員が、理念的な働き方をしていることです。
「自社が求める人財とは」や「自責と他責の考え方」の教育を施したものの、先輩社員が、この内容と異なる姿を職場で示していたら、新入社員への説得力はなくなってしまいます。

03. 「評価基準の明確化」で自主性を高める

「社員の自主性を引き出すには」という課題の解決策として企業理念の浸透を推奨していますが、浸透定着の決め手となるのは、ズバリ、理念の実践を評価する仕組みを設けることです。
理念を大切にしなさいと伝えても、それが評価に結びつかなければ、絵に描いた餅になってしまいます。

人事評価の情意評価項目に、理念に関連した項目を加えると、社員が理念の実践に意識を傾けるようになります。

以下が、評価項目と評価点の事例となります。

評価項目評価点
0
1
2
3
4
信頼相手の人格や人間性を否定するような発言が目立つ。

相手を承認することが極端に少なく、見下したり、横柄な態度を取る。

腹を立てると無視をして関わりを持とうとしない、聞く耳を持たない。
特定の相手であれば、その存在を認め、長所をほめたり、意見を聞き入れる等、相手を尊重する態度を取る。

ただし、苦手な相手、嫌悪感を抱いている相手には攻撃的になったり、理解を示さない態度をとることも多い。
多くの場合、相手の存在を認め、長所をほめたり、意見を聞き入れるなど、相手を尊重する態度を取る。

苦手な相手、嫌悪感を抱いている相手であっても、攻撃的になったり、理解を示さない態度をとることはほとんどない。
相手が誰であっても、その存在を認め、長所をほめたり、意見を聞き入れる等、相手を尊重する態度を取る。

また、周囲に対して時々その相手の長所を伝え、相互の信頼関係を強化する行為をおこなう。
相手が誰であっても、その存在を認め、長所をほめたり、意見を聞き入れるなど、相手を尊重する態度を取る。

また、周囲に対して積極的にその相手の長所を伝え、相互の信頼関係を強化する行為をおこなう。
プロ意識(目標達成意欲)会社、部門、個人の目標を知らない。

目標が高くなるとできない理由を言い出したり、やる気を失くす。

目標が未達でも悔しがらない。(平然としている。)
個人の目標と達成率は認識しているが、達成に向けた行動は不十分である(目標達成が可能なだけの活動量が確保されていない)。

上司から促されてもなかなか行動量が増えない。
個人の目標と達成率は認識しているが、達成に向けた行動は不十分である。

上司から適切な指導をうければ、その達成に向けて努力をする。
個人の目標と達成率は認識しており、その達成に対して自ら強い意欲を示し、最大限の努力をする。個人の目標達成はもちろん、所属部門および全社の目標達成に対して強い意欲を示し、その達成に対して最大限の努力をする。
チームワーク他人の意見を受け入れず、自分のやり方に固執する。

スタンドプレーが目立つ。

チームメンバーの頑張りに対して理解を示さない。
上司や仲間から協力を要請されれば力を貸す。

ただし、自ら進んで協力する姿勢は乏しい。
チームの目標達成に向かって協力を惜しまず、自分の役割を果たす。

ただし、自分が忙しかったり、精神的に余裕がない場合には、十分に役割を果たせない場合も多い。
自分が抱えている業務量等に関わらず、どんな時でもチームの目標達成に向かって協力を惜しまず、自分の役割を果たす。自分が抱えている業務量等に関わらず、どんな時でもチームの目標達成に向かって協力を惜しまず、自分の役割を果たす。

また、自分の役割を果たすだけでなく、仲間が自らの役割を果たすサポートもできる。

評価点が0点から始まっているのは、理念に反する行動の自覚を促すためです。
従って、0点の評価定義は、どれも自主性とは正反対な内容になっています。

04. 「定期的なフィードバック」で社員の自主性を高める

ここまで提示した、「企業理念の浸透」、「入社時教育の実施」、「評価基準の明確化」の3つ施策の実施により、社員の自主性を引き出す仕組みの土台は整ったことになります。

ところが、これだけでは社員に自主性を定着させられません。
ここまでの施策はあくまでも自主性の基準を示したに過ぎないからです。

知行合一といわれるように、理解を実践に移すことの難しさは、誰もが認めることでしょう。
そこで、学びで得た自主性の考え方や評価基準に示された理念的行動の定義に照らして、自身が行動に移せているかどうかを確認する機会が必要となります。

その方法は、直属の上司やブラザーから、定期的にフィードバックを受けることです。
月に1回の頻度で面談の時間を設けるのが、理想的です。

フィードバックの際には、その内容が具体的でなければ効果はありません。
評価基準に示された定義をなぞるような面談の繰り返しは、無意味です。
ここで問われるのが、フィードバックを担当する上司やブラザーの観察力と記録力

フィードバックをする対象者との仕事上での接点を定期的に設けて、優れた点や改善点を観察し、ポイントとなる事象を記録に残すのです。
このエビデンス(事実)を基にしたフィードバック面談の繰り返しから、自主的な行動の何たるかを理解し、実践力が増していきます。

05. 「自分に自信を持つ報酬の付与」で社員の自主性を高める

ここでいう報酬とは、給与や賞与のような金銭的なモノではなく、「ありがとう」と感謝されたり、目標を達成すると得られる充実感のような精神的報酬が、自主性を育む上で大切だといわれています。

この精神的報酬を人が実感するには、第三者の存在が不可欠です。
ではどのような人がこの役割を果たすのかというと、先ほど述べた、フィードバックをする上司やブラザーなのです。

みなさんにも、親から褒められたり、先輩から労いの言葉をもらい、心がほっこりした覚えがあるでしょう。
特に、自身では予期していない事柄を誰かに取り上げられて認められるのは、とても嬉しいモノなのです。

これらを制度化して、定着をはかる企業も多数あります。
例えば、サンクスカード。

1週間に3人を目標として、職場で目にしたありがたい行為をした人に「○○していただき、ありがとう」のカードを渡すという仕掛けです。
他者への関心を持ち、観察力を養う上では有効な方法ですが、長期間継続するとマンネリ感が出てきてしまいます。

従って、1カ月間、長くても3ヶ月間に期間を限定してキャンペーンをおこない、サンクスカードを最も多く書いた人を表彰し、そのカードの内容を観察する行為の実例集としてまとめて公表するといいでしょう。

まとめ

自主的に行動するということは、研修に対してだけ発揮するものではありません。
研修への参加はあくまでひとつのたとえで、日々の業務やビジネス、私生活においても自主性を高めることが役立ちます

今回は、研修という枠にとらわれずに自主性を養う手順を、5つに分けて紹介しました。
社員の自主性は、一足飛びでは養成できません。粘り強く、時間をかけて、自主性の芽を育てる必要があります。
芽がすくすくと伸びるには、優良な土壌が不可欠です。企業の土壌とは、組織風土を指します。

自主性の高い組織風土が備わっている企業に入社した人材は、この土壌という環境から栄養を得て、自主性という資質が開花するのです。
今回紹介した、「企業理念の浸透」、「入社時教育の実施」、「評価基準の明確化」、「定期的なフィードバック」、「自分に自信を持つ報酬の付与」の5つのポイントは、この組織風土を構築する手順を示したものです。
この手順を参考に、地道な土壌づくりをしていけば、必ず自主性という大きな花は咲きます。

結びに、相田 みつをさんの詩を紹介しましょう。

花を支える枝
枝を支える幹
幹を支える根
根はみえねんだなあ(『にんげんだもの』 (相田みつを(1998) 文化出版局)

みえないところを強化する。
まさに核心をついた言葉ですね。

平堀 剛

大学卒業後、電機メーカーに就職。先端技術の開発に汗を流すエンジニアを目の当たりにし、自分も何かをしたいと一念発起。学生時代からの夢、事業家(経営のプロ)を志しコンサルティング会社に転職。数多くの業界の経営実務に携わり上場(マザーズ)も経験した後に、小川とともに当社を起業。

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